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<title>【イベントレポ】『地域の新しい移動のしくみ豊岡ミーティング』が開催されました/title>

国民総旅人

インタビュー

【イベントレポート】『地域の新しい移動のしくみ 豊岡ミーティング』

2024年2月13日(火)、豊岡市日高町の江原河畔劇場にて、

『地域の新しい移動のしくみ 豊岡ミーティング』が開催されました!

本イベントでは、地域の移動課題の解決に向けて各地で取り組みを行う3名のゲストが登壇。最先端の取り組みの紹介や市民を交えたパネルディスカッションが行われ、話題は福祉や交通にとどまらず、観光やユニバーサルツーリズムまで広く展開しました。

平日でありながらも定員を上回る114名の来場者を迎え、市民の方々の関心が寄せられている様子が伺えました。

今回は、そんなイベントの内容をまじまじ編集部の〈くるみん〉がご紹介します!

コンテンツ

・本イベントのこれまでの経緯
     ・地方における移動問題の現状は?
     
1.豊岡市で実装中!”ちょいのり”とは?_株式会社アンズケア 秋山一平氏
2.ICT技術を活用したデマンドバス”福祉Mover”とは?
  _ソーシャルムーバー株式会社代表取締役 北嶋史誉氏
3.”外へでる”=リハビリになる_黒部市”Goトレ”の取り組み
  _黒部市社会福祉協議会 小柴徳明氏
4.豊岡福祉モビリティのこれから

1.豊岡市日高地域ですでに実施されている新しい移動のしくみ!___”ちょいのり500”とは?

豊岡市日高町にある株式会社アンズケアを中心として、同社が運営するデイサービス「アンドリハ」の利用者を対象に、2021年9月から「ちょいのり」と呼ばれる新しい交通サービスの実証実験を行っています。

「ちょいのり」とは🔻

  • 介護送迎車の空きシートを活用した、福祉利用者でない人々もタクシーに相乗りできるサービス
  • 専用のアプリを用いてタクシーを呼ぶ
  • 利用料金は一律500円
  • 現在は兵庫県豊岡市日高町の限定エリアのみで実装中

イベント当日もアンドリハ利用客の方々が「ちょいのり」に乗って来場されました。

将来的には、例えば、子供の習い事等の送迎など、幅広い人々に向けたサービスに発展していく可能性があると秋山氏は展望を語りました。

ところで・・・みなさんはこのイラストをご覧になったことはありますか?

これは、地域包括ケアシステムと呼ばれる、高齢者が地域の中で尊厳を持ちながら自立して暮らしていくための環境について表した介護やリハビリ看護業界の人でであればおなじみのイラストなのだそうです。

秋山氏によると、アンドリハを設立したことによって、以前より枝葉の部分=〈リハビリそのもの〉が拡充できたといいます。しかし一方で、その土台となる「すまいの住まい方」がより重要でありながら、不十分であるという課題に気づいたそうです。デイサービス利用者のデイサービスを利用しない時間、高齢者の日々の暮らしについて目を向ける必要があると気づきました。

また、介護送迎車のルートが重複しているという課題もあります。特にアンドリハが位置する兵庫県豊岡市日高町は、中心地から離れた山や谷に家が点在し、道路も狭く、利用者がまばらなルートを複数の介護事業者がそれぞれの車両で運行しているという現状があります。豊岡市の全体では、なんと一日に1500人以上がデイサービスの送迎を受け、約40台の介護タクシーがそれぞれの事業者ごとに輸送を行い、2000回以上の訪問活動が行われているそうです。

豊岡市の人口は約8万人規模の街なので、その多さに驚きますね。

この過剰ともいえる介護タクシー交通網の複雑さと、デイサービス利用客の本質的なリハビリについて組み合わせることで双方の問題が解決されるのではないかという考えから提案されたのが、「ちょいのり」というあたらしい移動のしくみなのです。

次は、「ちょいのり」でも活用されている、利用者がタクシーを予約をするためのアプリの開発などで関わる、群馬県でのモデルをご紹介します。

2.ICT技術を活用したデマンドバス”福祉Mover”とは?

_ソーシャルムーバー株式会社代表取締役 北嶋史誉氏

ソーシャルムーバー株式会社の代表取締役である北嶋史誉氏は、群馬県で「福祉mover」という新しい取り組みを立ち上げています。北嶋さんによると、移動問題の解決は

〈1〉交通弱者支援 

〈2〉介護人材不足

この2つの社会問題を同時に解決することができるといいます。群馬県での取り組みの中で、交通課題の解決が他の社会問題の解決に芋づる式に繋がる手応えを感じていると語っています。

日本国内の交通問題の現状に危機感を持っている北嶋さんは、客観的なデータとともに訴えかけました。現在、日本国内のタクシードライバーは22万人と言われていますが、この15年間で40%減少しています。さらにドライバーの平均年齢は69.9歳と高齢化が進んでいます。その一方で、免許を手放す免許返納者は年間50〜60万人と見積もられています。これは、公共交通の利用者が増加する一方でその担い手が急激に減少していることを示しています。これらの数字をみるとこれからの日本国内の交通について、他人事ではない、大きな危機感を覚えますよね。

また現在、日本国内には、デイケアやデイサービスが約5万2千件あります。これはなんと、コンビニと同じくらいの数なのだそうです。さらに、介護タクシーは約25万台走行していると予測されています。しかし、介護人材も同様に人手不足により、介護タクシーの運転手は限られています。そのため、北嶋さんは介護・リハビリ・看護の専門職と送迎担当者を分離し、ICT技術を活用した送迎自体を専門的に行うシステムを構築するモデルである「福祉ムーバー」を提案しています。現在は、これまでアナログで管理されてきたデイサービスの送迎業務をデジタル化し、次に介護タクシーに委託できるように段階を踏んで整備を進めています。

この「福祉ムーバー」は、福祉だけではなく、観光のシーンでも活用されています。群馬県の四万温泉では「四万温泉ムーバー」の取り組みが行われました。

温泉街への最寄りの中之条駅から温泉街は離れており、これまでは各旅館がそれぞれの宿泊客を送迎していました。しかし、旅館でも人手不足から、業務の負担となっている現状がありました。そこで、「福祉ムーバー」のICT技術を活用したモビリティのシステムを活用し、温泉街へ観光客を共通の一台のバスに乗せることで各旅館の運送負担を軽減したと言います。それだけではなく、泊食分離が進む温泉街で旅館と飲食店さんをつなげるよう、温泉街の中をデマンドタクシーが常時動く体制を整えたといいます。その結果、観光客が温泉街のなかを自由に移動でき、温泉地が全体が活気づいたといいます。

3.”外へでる”ことからすべてはじまる!___黒部市”Goトレ”の取り組み

_黒部市社会福祉協議会 小柴徳明氏

富山の黒部市でも、「Goトレ」というあたらしい福祉サービスが行われています。

「Goトレ」は、高齢者が既存の公共交通を使いながら自主的におでかけを楽しむ「外出自主トレーニングプログラム」です。目的地に行くことだけではなく、移動そのものを楽しみながら学び、健康とウェルビーイングを目指すことを目的としています。このプログラムは、地域交通の持続可能性を高め、高齢者の健康維持にもつながります。「介護予防=外出」の概念を定着させることで、高齢者の移動支援と効果的な介護予防プログラムを実現すると考えています。

地方において、もはや自家用車はなくてはならないものですよね。しかし免許を取得するトレーニングはある一方で、免許を手放すトレーニングはないという問題があります。そこで、「Goトレ」では、公共交通を使った「モビリティトレーニング」を提供しています。これにより、高齢者が交通手段に制約を感じずに外出できるようになり、地域の活性化や健康促進にも貢献します。

「Goトレ」は、地域全体がデイサービス化された状態を目指しています。これにより、高齢者は移動や外出を通じて社会とのつながりを感じ、ウェルビーイングを向上させることができます。また、地域内の移動資源をフル活用できるので地域全体が活気づくことで、地域の経済へも寄与すると期待ができます。

小柴氏が「人が動く街こそがいい街。経済も健康も、人が活き生きできると思う。」というように、

リハビリを専用の施設の中で留めることなく、街の外へ出かけることではじめて感じる自然や感情、発見が個人のよろこびとなり、地域全体が活き生きとなっていくのではないかと思います。

4.豊岡福祉モビリティのこれから

第2部では、市内で活躍するパネリストの3名と市民を交えたパネルディスカッションが行われました。パネルには、来場者が自由に質問を投げかけることのできるQRを設置し、多くの感想や質問が投げかけられました。

パネリストであるKIAC(城崎国際アートセンター)の滋賀玲子氏は

「公共交通機関がない地域での移動を考える際に、病院などの生活の最低限を支えるものが優先される。しかし、人間の人生の楽しみはほとんどが不要不急のもの。例えば孫のピアノの発表会を日曜日に見に行くための足がない、とか不要不急ではあるかもしれないが、同じくらい大切。また、芸術文化系の催しは週末に多い。一方で、福祉関係は土日が休み。そこの兼ね合いがうまく行けばいいと思う。」と感想を述べました。

豊岡市での新しい福祉モビリティの取り組みは、まだ始まったばかり。

北嶋さんは、介護タクシーが「バスやタクシーと方を並べる公共交通機関に並ぶひとつになるといい。移動できない社会を支える救世主は介護業界しかないと思っている」と語りました。そして、そのためにはICT技術を上手に活用していくことが重要である、と訴えました。

本イベントを通し、

地方における公共交通機関の弱体化や介護の送迎業務の負担等のさまざまな課題に対して、

ICT技術と介護タクシーを活用したあたらしい移動のしくみが課題解決の鍵となっていくのではないかという

大きな可能性を感じました。

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